この度は私共の『EVERY TIME WE SAY GOODBYE』に短編部門グランプリを頂けました事、本当に有難う御座いました。本作は「病」というモチーフに私自身初めて触れたものでした。実姉の末期ガンを経験し、残される人間は如何に生きていく事がいいのだろう?と考え、何処までも相手を想い、暗く沈むのではない、誠実に明るく、笑って歩く術はないものかと探した結果の映画でした。観客の皆様にこの作品がどのように写ったかは分かりませんが、もしも叶うならば、お隣にいる方々へ優しくしたいというお気持ちが少しでも芽生えてもらえたらと願うばかりです。
この作品の一番のテーマは「発掘という行為は一種の供養ではないか」という事です。
作品に登場するスピノサウルスという恐竜は、ただ私が好きだからという理由で選んだのですが、発見当時「最大の肉食恐竜だ!ティラノサウルスよりでかくて強いんだ!」と言われたりしました。しかし近年では、実は魚食で川に住んでいたとか、四足歩行だった等、羽毛のティラノサウルスと同じく恐竜ファンに大ショックを与えました。何が正しいんだ!と日々新しい学説に踊らされる事多々ありですが、それもまた楽しい。そしてそうやって大昔に居なくなってしまった奴らの事をあれこれ考えて楽しみ、何より存在を知るということは、私には供養のように思えてなりません。
作品の話が長くなってしまいましたが、最後に改めまして、丁寧な対応をして下さった福井映画祭スタッフの皆様、作品を見て下さった皆様に御礼申し上げます。本当にありがとうございました。