招待上映「共想」ゲスト来場決定!篠崎誠監督よりコメントを頂きました

 

福井映画祭13TH 招待上映クロージング作品

「共想」12/1(日)18:00〜上映

篠崎誠監督、W主演の矢﨑初音さん、柗下仁美さんがご来場されます!

2015年、福井映画祭9THでの「SHARING」上映以来となる篠崎監督の来福。それに際し、「福井映画祭に向けて」と題し、作品への想いと福井映画祭との縁について綴っていただきました。映画祭を通じて、篠崎監督の作品に関わることが出来たことに感謝です。

 

篠崎誠監督による「福井映画祭に向けて」

 三度、作品とともに福井映画祭に帰ってくることができることに特別の思いがあります。最初は、福井映画祭本体ではなく、プレ・イベントとして組まれた番外編の特集上映「福井映画祭×KUCHU BOOKS 空中映画館 VOL.1」で、『あれから』が上映されました。2013 年11月16日(土)のことです。それがすべての始まりでした。上映を終えた翌日、帰りの電車までしばし、時間があり、スタッフの方に「せっかくここまで来たのだから、どこか行きたいところはありますか?」と聞かれ、「原子力発電所に行きたいです。できたら『もんじゅ』を見たいです」と即座にお願いしました。時間の関係ですべての発電所を間近から見ることはできませんでしたが、敬愛する森﨑東監督の『生きているうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』にも出てきた美浜原子力発電所などを見て回り、最終的には、もんじゅを見に行きました。晴天で、ちょうど私たちが着いた時に、家族連れがお弁当を広げていました。もんじゅが建設される前からこの風景を見てきた人もいれば、生まれた時から、もんじゅがあって、それを見ながら、育ってきた人たちもいる。そんな当たり前のことに今さらのように気づき、その光景を見ながら、言葉にうまくならないいろんな思いが去来しました。その時、私は、スタッフの方たちに協力してもらって、砂浜に三脚を立て、もんじゅを撮影しました。そして、その時に撮影した数カット(さらに後日、当時映画祭実行委員長だった松井さんにお願いして、もんじゅを追加撮影してもらいました)は、私の前作『SHARING』の中に、「ガードレールに干してある大根」の映像とともに残っています。『SHARING』は、福井で産声をあげたのです。その時点では、シナリオもできていませんでしたが、その映像が、私たちを引っ張っていったのかも知れません。
 翌年完成した脚本には、ヒロインが子ども時代まで福井で過ごしたという台詞が出てきます。同作で、ヒロイン瑛子を演じた山田キヌヲさんは、衣装合わせの数日後、雪が降って、凍えるような天気のなか、自腹をきってまで、たった一人で、もんじゅを見に行ってくれました。
 2015年、完成した『SHARING』をもって、山田さんとともに福井に戻ってくることができました。『あれから』から『SHARING』へ、さらに今回の『共想』へ。この3本の映画の核には、福井での経験が間違いなく反映しています。今回まだ劇場公開も決まっていない時点で、『共想』の上映を決めてくださった酒井潤さんはじめ、実行委員会の皆様の志、いや、蛮勇に、心より感謝しています。ありがとうございます。果たして、私たちの映画がどのように福井の皆様に受け止められるのか、今から楽しみです。