実行委員長あいさつ

みなさんは、幼い頃どんなふうに映画を見ていましたか?
僕は、地元に映画館が無く、二つ先の町まで親の車に乗せてもらい連れて行ってもらったことを覚えています。とてもワクワクしました。僕にとって映画館で映画を見るのは1年のうち2回あれば良いほどの大イベントでした。上映が始まる時のブザーと共に暗転していく感じ、真っ暗な画面から聞こえ出す乾いた音、映画を見終わった後に外に出る時のまぶしい感じ…。全部が楽しかった。

今僕は、大学の映画部で自主制作映画を作っています。そして、福井映画祭の実行委員長もさせていただいています。
この2年近くで多くのことを知り、考えさせられました。そして思ったことがあります。原点へ帰ろうと。

 > 僕らの映画祭は、“自主制作映画を魅たことの無いお客さんにその面白さを伝えたい”と言うのが大切な目的です。

決して、素晴らしい作品を発掘する…みたいなコンペティションとは違います。そもそも、素晴らしい作品って何?と思います。「作品は魅て初めてその人の映画になる」と聞いたことがあります。作品を見た人で感じ方が違うのは当たり前。例え、他の人が悪いと評価した作品でも、誰かにとっては大好きな映画になっていることだってよくある話です。そこに小難しいことを言って割って入ってくるから話がややこしくなっている。

「良いものは良い!」でいいじゃありませんか。腕組みして「この作品は○○が優れていたね…」みたいに気取らず映画をワクワクして魅ましょうよ。
そして、もう1つ。

 > 「ありがとう」と大切にしよう。

これは個人的な原点なのですが、“ありがとう”は生きていく上での原動力だと思っています。苦労して作品を完成させ、誰かに見てもらった時に、「あなたの作品大好きです」とか「本当にありがとう」と言われると、それまでの疲れが一気に吹き飛んで、また映画を作りたいという気持ちになってくるんです。どんな大きな映画祭で賞を取ることよりも、100万倍嬉しいです。そんな「ありがとう」の持つ力を大切にしたいです。

そして、自主制作映画って面白いんだなってお客さんに思ってもらえるよう、実行委員が自信をもって作品を選考します。

2008年6月19日 福井映画祭2008実行委員長 有元真一