長編部門
11.30〔土〕13:10~
11.30〔土〕13:10~
『ユートピア』
監督:伊藤 峻太
夏の日の朝、まみが目を覚ますと二段ベッドの上に見知らぬ少女が倒れていた。 外には雪が降っている。聞いたこともない言葉を話し、軽やかに笑うその少女に、まみは不思議と惹かれていく。 この子のいた世界は “ユートピア” なのではないかと、まみは憧れるようになる。一方、東京の街では子ども達が静かに姿を消していく。ライフラインの途絶した東京で、少しずつ何かが起きようとしている。
監督コメント
史実からおとぎ話が作られ、700年前から現在まで語り継がれる童話『ハーメルンの笛吹き男』。そして、500年前に国家の在り方をファンタジーとして説いたトマス・モア著『ユートピア』。
その2つをモチーフに、現代の日本を見つめようと思い、構想から完成まで12年をかけて制作しました。
真実を隠すことが、本当に民のため・国のためになるのかどうか、3.11の震災で日本人が直面した様々な事象への、僕なりの答えです。
2018年/ドラマ/103分
出演:松永祐佳、ミキ・クラーク、高木万平、森郁月、吉田晋一、地曵豪、ウダタカキ
監督・脚本・編集:伊藤峻太
撮影:椎名遼
制作:湯浅志保子
出演:松永祐佳、ミキ・クラーク、高木万平、森郁月、吉田晋一、地曵豪、ウダタカキ
監督・脚本・編集:伊藤峻太
撮影:椎名遼
制作:湯浅志保子
監督について
伊藤 峻太
Shunta Ito
高校時代、友人の影響で自主制作映画にのめり込み、3年次にクラスで制作した文化祭映画『ウィッシュバニッシュラビッシュ』(監督・脚本・出演)が第一回高校生映画甲子園にて、優秀賞とHLS賞をダブル受賞。同年制作した映画『虹色★ロケット』(監督・脚本・出演)が2007年に下北沢トリウッドにて約3ヶ月のロードショーののち、ジェネオンエンターテイメントからDVDが発売。
京都精華大学マンガ学部でアニメーションを学びながら、短編作品を制作。
2014年には、 「Gateway for Directors Japan C2C‐2014」にユース特別枠として選出され、第67回カンヌ映画祭にて企画プレゼンを行う。
アイデアの種が生まれ、それを育てようと決めたのが2006年。そこから完成まで12年間、スーパー貧乏状態で作り続けました。本来であれば身の丈に合った内容を目指すべきだったのかもしれません。しかしやりたいことが抑えられず、漫画やアニメーションと同じ感覚で作り始めてしまいました。
「最高に面白い映画を作りたい」と意気込んで始めたのに、「面白さとは何なのか」という壁に幾度もぶつかり、最後はほとんど何も見えなくなってようやく完成。反省や後悔もありますが、当時の持てる力をすべて注いだ結晶です。際限なくこだわった日々は、今思えばまさに「創作の理想郷」でした。
映画は、お客さんからお金と時間を奪います。そのお返しに、何かを持って帰ってもらわなければなりません。その何かの返し方は作品・作家ごとに個性が出るところですが、『ユートピア』が何か返せたことを願いつつ、これからも楽しませ方を誠実に考えて作り続けていかねばと思っています。
他のノミネート作品たちの在り方から得た刺激も励みに、次に挑みます。
ありがとうございました!
伊藤 峻太