これまでの福井映画祭レポート


FFF09 入選作品

向ヶ丘千里はただ見つめていたのだった

監督 植草 航

2009年 / アニメーション / 5分 / カラー / ステレオ
一人の女の子が走り、飛ぶスピードと浮遊感。もう一人の女の子と互いの存在を認識し合うというストーリーは、確かなアニメーション技術と音楽によって支えられる。
 (監督コメント)自分の感情をビジュアル化したらどうなるのだろう、と思い、コンプレックスの昇華、曲のワンフレーズを追っていくような「一瞬を追う」ということをテーマにして制作しました。

blanc

監督 北川 仁

2009年 / ドラマ / 22分 / カラー / ステレオ
毎日部屋に引きこもり漫画を描く男。窓の外には漫画に描いた登場人物とそっくりな女が現れる。現実と妄想の世界が混ざり影響しあうなか、男は女に恋をしていく・・・。
(監督コメント)出会いが運命的であるほど、互いに幻滅し合うのもきっと早くなるでしょうから、出会いは運命 的ではない方が、本当はいいのだと思います。しかし僕は、やはり憧れてしまいます。つらい結果が待ってい るとしても。つまり、運命的な出会いというものは、男のロマンというやつなのだと思います。

東京

監督 鈴木 健

2009年 / ドラマ / 60分 / カラー / ステレオ
東京在住で人生について悶々と悩む大学生。7歳の息子と親権を持つ元夫に再会をしに上京する女性。東京を離れ、別居した家族と再会する中年男性。東京で過ごす他人の事情と、出会いと偶然を通して描かれる家族の姿に迫る群像劇。
(監督コメント)今振り返ると当時のキャスト・スタッフや御協力いただいた方々は全員例外なく愛と情熱をこの作品に注いでいました。とにかく必死でした。それは人生の意味や夢を標榜にしながら必死に生きている自分たちの姿にダブるものがあり、伝えたかったことなのかと感じております。

Lizard Planet

監督 上甲 トモヨシ

2009年 / アニメーション / 5分 / カラー / ステレオ
或る宇宙の話、そこはトカゲの姿をした星々が存在する。水を抱きしめる星ユニーは様々な星たちと出会う。1枚1枚手描きで綴られたアニメーション。
(監督コメント)地球は生きていて、宇宙という広い世界の中に存在するひとつの生命です。宇宙に暮らす”星”という生命の上に我々は成り立っているということをすこしでも感じていただけたら嬉しく思います。

未練坂のヤドカリ

監督 小林 総美

2009年 / ドラマ / 59分 / カラー / ステレオ
女は主を失ったままの空き家を眺め、幸せな日々を回想する事が唯一の慰めである。掃除婦をする彼女はそんな日常の中、とある廃墟の中に縛られた言葉の通じない瀕死の男と、さえない女子高生に出会うのだった・・・・。
(監督コメント)ヤドカリのように脆い腹の中にある人の思いが必要とする”時間”と”きっかけ”について考えました。彷徨いの中にいる方、戻られた方、戻れない方、どなたかの回想の”きっかけ”になれたらうれしい限りです。

うどん屋の娘

監督 中村 亨

2009年 / ドラマ / 20分 / カラー / ステレオ
深い山間にある小さなうどん屋で働く女。輪郭が曖昧でぼんやりした一日。きっとこれまでの日々となんら変わりなく、泡のように消えていくのでしょう。そこへ現れたツーリング中の若い男。永遠に限られた世界に開いた一瞬の風穴。女は何を思うのだろう。
(監督コメント)僕たちは自分に与えられた一日をそれを消費して死ぬまで繰り返す。そこに何の美化や道徳的な意味合いを持たせず、たんたんと歩んでいく人が美しく思い、この映画を撮るにいたりました。

脚の生えたおたまじゃくし

監督 前野 朋哉

2009年 / ドラマ / 75分 / カラー / ステレオ
毎日、部屋から女の子をチェックしている中学生、とおると風間。ある日、おたまじゃくしをクラスで飼う事で、入学当時から好きだった川島さんと仲良くなる・・・。どうしようもないバカな少年の初恋エレジー。
(監督コメント)監督が主演もしているんですが、僕自身がどうしてもおどりたくなったので、この作品を撮りました。

靄の中

監督 飯塚 諒

2009年 / ドラマ / 61分 / カラー / ステレオ
深夜のアルバイト。男を連れ帰る母との暮らし。閉塞した情況の中、一人現実を受け入れ堅実な未来を切望する少年。しかし母親によってその夢は奪われることに・・・。
(監督コメント)少年犯罪世間で取りざたされた時、僕は少年でした。「ムシャクシャして殺した」同年代のこの言葉に哀しさを感じつつも、同意する部分もありました。「自分がどういう状況に置かれたら殺人をしてしまうか」人を殺める人の心、その機微に、可能な限り寄り添って映画を撮りました。
■主催 : 福井映画祭実行委員会  /  NPO法人 Comfortさばえ   ■協力 : 福井映画サークル
■後援 鯖江市  /  福井新聞社  /  FBC福井放送  /  福井テレビ  /  FM福井  /  丹南ケーブルテレビ株式会社  /  たんなんFM79.1
■ワークショップ協賛 福井県  /  (財)げんでんふれあい福井財団