福井映画祭10TH 受賞結果
アニメーション部門・グランプリ(観客賞)
監督:石谷 恵
アニメーション部門・審査員特別賞
監督:中内友紀恵 上水樽力
短編部門・グランプリ(観客賞)
監督:倉田健次
短編部門・審査員特別賞
監督:隈元博樹
長編部門・グランプリ(観客賞)
監督:太田真博
長編部門・審査員特別賞
監督:加治屋 彰人
受賞コメント
アニメーション部門・グランプリ(観客賞)
監督:石谷 恵
 観客の皆様に選んで頂けたという事が何よりも嬉しいです。本当にありがとうございます。古生物の化石が数多く発見される福井県で、恐竜をテーマにした作品が上映され受賞する事が出来たというのは、不思議な感じがしています。
 この作品の一番のテーマは「発掘という行為は一種の供養ではないか」という事です。
 作品に登場するスピノサウルスという恐竜は、ただ私が好きだからという理由で選んだのですが、発見当時「最大の肉食恐竜だ!ティラノサウルスよりでかくて強いんだ!」と言われたりしました。しかし近年では、実は魚食で川に住んでいたとか、四足歩行だった等、羽毛のティラノサウルスと同じく恐竜ファンに大ショックを与えました。何が正しいんだ!と日々新しい学説に踊らされる事多々ありですが、それもまた楽しい。そしてそうやって大昔に居なくなってしまった奴らの事をあれこれ考えて楽しみ、何より存在を知るということは、私には供養のように思えてなりません。
 作品の話が長くなってしまいましたが、最後に改めまして、丁寧な対応をして下さった福井映画祭スタッフの皆様、作品を見て下さった皆様に御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
アニメーション部門・審査員特別賞
監督:中内友紀恵 上水樽力
「I'm here」は、音楽を担当してくださった上水樽氏と初めてお会いしてから1年間のやりとりを経て作り上げたものです。企画段階から映像と音楽をどちらが先行することなく、足並み揃えた制作のキャッチボールをしようと思い作ってきました。制作中はものをつくること自体に疑問を持ち、苦しい場面も何度もありましたが(今もありますが、)作った自分を含め、何かを表現しようとする人の苦悩や喜び、生き方を受け入れようと思いながら何とか完成することができました。第10回福井映画祭にお越しいただいた皆さま、運営スタッフの皆さま、この度は拙作をご覧いただき、さらに「アニメーション部門審査員特別賞」という素晴らしい賞をいただきありがとうございました。今回の受賞も含め、作品に関わっていただいたすべての皆さまにとって、今作が制作の何らかの力になれたらと願うばかりです。(中内)

この度は栄誉ある賞を頂戴でき、誠に光栄に存じます。「I’m here」の音楽を担当いたしました上水樽です。
この作品は映像と音楽の綿密なコラボレーション作品ということで、中内さんとの長期に渡る意見交換とコンセプトの共有の末、持てる限りの総力を絞り上げて完成させた作品でした。しかし出来上がってみると、「I’m here」はどこか少しだけ恥ずかしがり屋な作品だったように思います。だからこそ、映画祭の度に「頑張っておいで」と送り出すような思いだったので、今回の受賞は感激もひとしおです。
映画祭の運営委員の皆様、ノミネートくださった方々に観客の皆様はもちろん、演奏にご協力いただいた17名の演奏者の皆様、録音・ミキシングエンジニアのお2人、ご指導いただいた先生方に支えてくださった皆様方。そして辛抱強く、こんな自分を信じて完成までご一緒くださった中内さん。この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました!今後とも作品作りに精進して参りたいと思います。(上水樽)
短編部門・グランプリ(観客賞)
監督:倉田健次
この度は私共の『EVERY TIME WE SAY GOODBYE』に短編部門グランプリを頂けました事、本当に有難う御座いました。本作は「病」というモチーフに私自身初めて触れたものでした。実姉の末期ガンを経験し、残される人間は如何に生きていく事がいいのだろう?と考え、何処までも相手を想い、暗く沈むのではない、誠実に明るく、笑って歩く術はないものかと探した結果の映画でした。観客の皆様にこの作品がどのように写ったかは分かりませんが、もしも叶うならば、お隣にいる方々へ優しくしたいというお気持ちが少しでも芽生えてもらえたらと願うばかりです。

また映画祭会期中には事務局の皆様には大変お世話になりました。映画と真摯に向き合い、映画を大事にされている事務局の皆様の映画祭に参加できた事、本当に幸せでした。
また是非、福井映画祭に参加したいと、キャストスタッフ一同願っております。
今後の福井映画祭さんの益々のご発展をお祈り致します。
有難う御座いました。

倉田健次
短編部門・審査員特別賞
監督:隈元博樹
念願の福井映画祭にてこのような素晴らしい賞をいただき、大変うれしく思います。撮影から3年あまりが経とうとしていますが、タイトルのごとくあの残像たちにカメラを向けられたことは、この映画にとっての大きな財産です。当然のことながら、あの景色や質感はもう二度と撮ることができません。だからこ登場人物の奈美ちゃんや内田さんをはじめ、彼らを取り巻くすべての人々にとっても、かけがえのない財産であってほしいと強く思います。そしてこの映画を生むにあたって、ひとすじのまばゆい光を導いてくださったキャストやスタッフのみなさんは、僕にとっての大きな財産であり、記憶に宿るたしかな残像です。そんな彼らにも、心からの祝福を捧げたいと思います。
長編部門・グランプリ(観客賞)
監督:太田真博
自分のやりたいことやって、誰かに想いを伝えるみたいなことって、ズルいかもしれないですね。さんざんやったあとで気付きました。
「誰か」がいてもいなくても、どうせやるんだろう、と。どうせやることをやるんだから、そこに「誰か」を足すのはなんだかな、と。

でも、足してなかったなら、この作品は全く別のものになっていたかもしれません。
だからやっぱり、いてくれた人たちに、この場を借りてありがとう(ございます)。

当日ご来場の皆さまも、長い物語にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

そして福井映画祭、ならびに実行委員会の皆さま。
2008年に出会ってからずっと、僕の支えです。いただいてばかりです。大きなことは言いませんが、大きなことを思いながら残りの日々を過ごします。これからも宜しくお願いします。
益々のご発展をこころよりお祈り申し上げます。

太田真博(演劇映画ユニット・松田真子)